桜木紫乃 『風葬』2017/01/05



北海道といっても、道央と道北、道南など全く違った文化圏なのだと思います。
桜木ワールド満載の本です。

釧路で書道教室を営む夏紀は、認知症の母が夜中に「涙香岬(ルイカミサキ)」に行かなければと言うことが気になっていました。
自分の出生の秘密と関わりがあるのではないかと思うからです。
地元の新聞の文芸欄に「涙香岬」という地名を使った短歌を見つけたので、新聞社に問い合わせました。
そうすると投稿者の沢井徳一が会ってくれるというので、出かけることにしました。

沢井徳一は退職した元中学校教師で、今は悠々自適な生活をしていました。
彼の息子の優作は元小学校教師で、受け持っていた生徒がいじめを苦に自殺したことから仕事を辞め、妻と別居し、父である徳一と暮らしていました。

夏妃と会ってから、徳一は昔受け持った女生徒で、海で死んだ子のことを思い出し、彼女のことを調べ始めます。
彼女はその頃妊娠しており、産んだ赤ん坊は一体どこに行ったのかと気になっていたのです。

過去が思わぬ姿で現れます。

ネタバレになるので書きませんが、真実はどうなんだろうと思いました。
釧路の海は、あくまでもイメージですが、暗い、人の心の闇を写すような海のような感じです。

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