濱嘉之 『院内掲示 シャドウ・ペイシェンツ』2021/08/20

「院内刑事(デカ)」シリーズの最新刊。


元警視庁公安総務課の伝説の人、日本警察の宝とまで言われた、今は川崎殿町病院・敬徳会常任理事で危機管理を担当している廣瀬知剛は、病院内で起る様々な犯罪に対処しています。

中国人の健康保険証不正使用と転院してきた新型コロナウィルスに感染したワケあり妊婦を公安時代の人脈を使い調べていくと、意外なところで繋がっていました。
中国人グループによる裏金稼ぎを邪魔したため、川崎殿町病院が狙われることになります。
救急外来から院内に入り込んだマル暴や借金持ちたち。
夜中に病院の横の道に集まるローリング族。
そしてサイバーテロ…。
廣瀬は警視庁や県警からの協力を得、犯人たちを追い詰めていきます。

最後はやられたら、やりかえすという廣瀬がとても頼もしかったです。

最初に政府のコロナ対策に関する辛辣な意見が出てきたので、コロナ絡みの犯罪でいくのかなと思ったら違いました。
話が院内を超えて段々と大きくなっていきました。
大病院ではこういうことが起る可能性があるということですね。
そういう時のために廣瀬のように警察と太いパイプがある人がいると助かりますね。

コロナ対策に関する意見は、特に二十代、三十代に対してとても厳しいものです。
「二十代、三十代の連中に対して罰則を加えて何とかしなければ、コロナは終息」
しないとか、「この時期に至って、新たに感染する二十代、三十代の連中を診察する気にもならないのが医者の本音だ」とか。
一概に悪いのは二十代、三十代だけだとは思いませんが…。
昨年感染爆発した国を参考にして、コロナ対策を考えておいて欲しかったとは思います。

前回は蘊蓄が多く、読み飛ばしたところもありましたが、今回は少なく、話自体は面白かったです。
次回も院内のみならず院外でも活躍する廣瀬の姿が見られるでしょうね。