『セザンヌ パリとプロヴァンス』展@国立新美術館開館5周年2012/04/01



セザンヌはどうしてあんなに重んじられているのか、はっきり言ってわかりませんでした。セザンヌ展を見た今もわかりません。
ゴッホのような分かり易い強烈な個性や情熱の爆発がないし、ルノワールのような光のきらめきや優しさが感じられないからかしら?
彼の使ったくすんだ緑色と煉瓦色のせいかしら?
そう思いながら『セザンヌ展』に行ってきました。

<一章・初期>
セザンヌはフェルト帽子の製造販売で財を成し、後には自らの銀行を設立した父のもとに生まれました。裕福なブルジョワ家庭出身です。
父親からの仕送りがあり、思う存分画業に勤しむゆとりがあったのです。
面白いことにパリと故郷のエクス=アン=プロヴァンスを20回以上も行き来しています。性格的に都会のパリが合わなかったのでしょうね。

1969年から父親が購入した別荘、ジャズ・ド・ブッファンに装飾画を描いています。
この絵は個性のない平凡な絵です。セザンヌは人間の全身を描くのが下手ですね。全身を描いた有名な作品は、私の知る限りにおいてないです。彼の描いた人物のデッサン画を見てみたいものです。ゴッホなんかデッサンが上手いです。別に比べなくていいのですが・・・。


別荘の大広間に飾られた<四季>という絵です。
これはそうではありませんが、この頃の作品にはパレットナイフを使った厚塗りが多いです。
パリのサロンでは落選が続いていたようです。
セザンヌがセザンヌになる前の習作の時代です。

<二章・風景>
1970年代にはパリを拠点にして風景画を制作していきました。
この展覧会のポスターに使われている<サント・ヴィクトワール山>の連作はこの頃から描かれました。
パレットナイフを使い厚塗りをするということがすくなくなったようです。フランスの土地の色でもある、セザンヌの色のくすんだ緑色と煉瓦色が現れます。

    <首吊りの家 オーヴェール=シュル=オワーズ>  

彼らしい絵が描かれつつあったようです。

<三章・身体>
彼の描く人って変です。デッサンが残されていないのか、見たことがないので何とも言えませんが。
果物のデッサンがありましたが、果物の輪郭だけ描いて終わりっぽいので、実はデッサンが下手なのか。今の私の疑念です。
水浴の人など、女性も男性も描いていますが、変です。

        <水浴の男たち> 1896-97年

そういえば男たちの水浴を描いた画家って・・・思い当たりません。
セザンヌは変わった趣味なんでしょうか?

この章の絵を見ていて思ったのは、セザンヌは結婚していたのかどうかです。会場にある年表によると30歳ごろにモデルだった19歳のオルタンス・フィケと同棲を始め、後に結婚しますが、子供ができても父には彼女のことを内緒にしていたそうです。説明文に父親に彼女とのことを知られてから、仕送りが減らされたと書いてありました。
セザンヌは潔癖症で人付き合いが苦手で友達も少ない人だったようです。女性に対する恐怖症もあったんでしょうね。それが彼の人物画に影響を与えていたのでしょう。

<四章・肖像>
人付き合いが下手だったわりに肖像画を結構描いているなと思って見てみると、妻や近所の人など身近な人ばかりでした。
奥さんの絵が二枚展示されていました。奥さんは何回もモデルになっているようです。安心して描けたのでしょうね。

     <赤いひじ掛け椅子のセザンヌ夫人> 1877年

<五章・静物>
これぞ、セザンヌという章です。

不思議なことにセザンヌの絵には描きかけではないかと思えるものがあります。意図したもののか、興味関心が他の絵に移り、後で描こうと思って置いておいたのか?

静物では<りんごとオレンジ>を見て、やる気になれば描けるじゃないのと思いました。


絵の具をケチっているような、水彩画をマネしたような絵ではなく(笑)セザンヌには珍しく、力を入れて描いているように思います。
この絵なら欲しいです。
200点もある静物画の「頂点を成す」のだとのことです。納得。

<6章・晩年>
なかなか画壇で認められなかった彼も、晩年は幸せだったと思います。1886年にお父さんの遺産も入り、1895年のヴォラール画廊での個展は成功し、高額で絵画が取引されるようになり、悠々自適だったのではないでしょうか。
亡くなったきっかけも、野外で絵を描いていた時に雨に打たれて肺炎に罹ってということです。画家なら本望ですよね。

会場の最期にレ・ローヴのアトリエが再現されています。

今回の展覧会の絵は世界中の美術館から集めたようで、私など知らない美術館がありました。学芸員はどこの美術館にどの絵があるかを調べ、展覧会にあった絵を借用したのですね。大変そうです。

残念ながら『セザンヌ展』を見ても、セザンヌは嫌いではないけれど、それほど好きな画家にはなりませんでした。
一緒に行った絵を描く友人は、彼の色彩がいいと言っていました。彼の使う緑でも色々ありますからね。学びところはたくさんあるようです。

畠中恵 『こころげそう』2012/04/03



江戸橋本町の下っ引きの宇多には幼馴染の男女8人がいました。
その中の一人で宇多が心を寄せていた於ふじが、彼女の兄の千之助と共に溺死して見つかります。
彼らの死の謎を解こうと、宇多は残った幼馴染たちに話を聞きまわります。

畠中さんの書く小説には、よく幼馴染が出てきますね。幼馴染なんて、懐かしい響きがあります。私に今でも行き来のある幼馴染がいないからかもしれません。
幼馴染の恋物語。なんか憧れます。

忘れられた日本の風景が畠中さんの江戸物に描かれているようです。
が、時間が経つと、どれがどれかわからなくなるのが玉に瑕です。
憶えているうちに紹介しない私が悪いのですが・・・。

谷中墓地の桜2012/04/04

色々と用事があり、その合間に谷中墓地に行ってきました。
まず、日暮里駅の近くの善性寺の枝垂れ桜を見に行きました。


右側の桜が盛りを過ぎていました。しばらくすると左の桜が咲くはずです。


クリスマスローズとミモザも咲いていました。



ピンクの梅も咲きそうです。


線路の側に水仙などが咲いていたところがあったので行ってみました。しかし、すべて無くなっていました。下草を刈った時に一緒に刈ってしまったようです。かわいらしい野の花もあったのに・・・。
枝垂れ桜があったので見に行ってみると、それは福島県田村郡三春町の紅しだれ桜でした。



三春町は原発事故でどうなったのでしょうか?滝桜は見ることができるのでしょうか?

谷中墓地名物の猫と挨拶をしました。返事をしてくれましたが、寝たままです。


徳川家の墓地の工事が終わったようで、覆いがとれていました。


スカイツリーもはっきり見えます。



天王寺に出て日暮里駅南口まで戻りました。



まだ木によっては三分咲き、五分咲き・・・という感じです。
今週末から来週にかけて満開になるようです。

神田明神の桜2012/04/05

谷中に行った後に用事があったので、お茶の水まで行きました。
お茶の水に行くと必ず寄るのが神田明神です。


いつもとは違い鳥井のところにピンクの提灯が飾ってありました。さくら祭りを開催しているようです。


桜はまだ三分咲き。
桜を見るついでにあかりちゃんにも会ってきました。
あかりちゃんはいつもお姉さんに撫でられて嬉しそうだったのですが、今回は堂々と寝ていました。



口を開け、もぐもぐと動かしています。


女の子なのに、なんていうことでしょう。
しばらくすると起きてくれ、馬らしく嘶いてくれました。そして、私の側まで来て頭を柵から出してきます。撫でて欲しいのかしら?
ちょっと撫でてから手をあかりちゃんの顔の側に出しておくと、顔をこすりつけてきます。
小さな男の子が来て、あかりちゃんを撫でたそうにしているので場所を譲りました。


知り合いによると、東京の夏はあかりちゃんには暑すぎるので、長野に避暑をするそうです。いいですね。

庭園にも行ってみました。
前回とは違い白いユキヤナギがたくさん咲いていました。




やっと庭園らしくなってきました。
神田明神の桜も今週末に満開になりそうです。

坂本司 『ウィンター・ホリデー』2012/04/06



国立の桜はそろそろ八分咲きになりつつあります。週末は満開でしょう。
桜の木のところに男性が一人いました。


何をやっているのかしら?
場所取りかしら?
よくよく見ると、木についている番号札や名前の札の取れかかっているのを直しています。バイトでしょうか?
毎年、満開になる前に直しているのでしょうね。


駅のホームから大学通りを写してみました。そろそろ見ごろです。




ワーキング・ホリデー』で自分に息子がいることを知り、ホストを辞めて、宅配便「ハチさん便」でまっとうに働きだした沖田大和。
息子の進は母親のいる家に帰ってしまい、今の大和の楽しみは冬休みです。進がまた会いにくるのです。

会えない時はメールで連絡が取れると思っていたのですが、進は大和にめったにメールはくれません。くれてもそっけない内容です。
どうも元ホスト仲間の雪夜には頻繁にメールをしているようです。
思い通りに行かない進との仲。やっぱり一緒に暮らしていないとダメなのかと、自信を無くす大和です。

今回は脇役がとってもいいです。前回も登場したおねえのジャスミンと「ハチさん便」の仲間たち(ボス、リカさん、コブちゃん、イワさん、ミキティ)、ホストの雪夜とそのお客のナナ。そして、新しく登場する変な二人と進の母親の由希子。
変な二人のうちの一人は、進の友人のエロガキ・コウタ。大和にバレンタインのことを相談してきます。
そして、もう一人は、大和の仕事がおもしろいという答えを真に受けて「ハチさん便」で働き始めた、愛想がよくチャラい男、大東。
お約束どおり、この二人がとんでもない騒動をもたらします。
大和と由希子の仲は、読んでのお楽しみ。

お歳暮やバレンタインのチョコの配達に関することなんて、私には想像もつきませんでした。
流石、坂本さん。リサーチがすごい。
宅急便のお兄さん方を違った目で見るようになりました。
いつもご苦労様です。

お酒は弱い私ですが、本の中に出てくるXYZというカクテルを飲んでみたいです。
ラム :コアントロー:レモン・ジュース = 2:1:1で作るカクテルだそうです。色は薄い白です。
XYZはアルファベットの最後なので、「これ以上良いものは無い究極のカクテル」を意味するのだとか。
大和曰く、「最高にいい女と飲む、『最高』のカクテル」。
ラムって度数はどれぐらいでしたっけ?

大黒田公園から善福寺川緑地を歩く2012/04/07

用事のついでに早く家を出て、大田黒公園から桜で有名な善福寺川沿いを歩いてみることにしました。
そういえば大田黒公園で桜の木を見たことがないような。今日は休日なのに、あまり人が来ていません。


そうです。桜の木が一本もないのです。あ、池のところに一本だけ枝垂れ桜がありました。


雨戸が閉まっていたピンクの邸宅は今日は公開していました。
裏の庭にピンクの牡丹とボケの花が咲いています。



善福寺川緑地に行くついでに角川庭園にも寄ることにしました。
途中に大企業の独身寮があるのですが、そこの桜と枝垂れ桜がきれいです。
角川庭園にも桜の木がなかったような気がしていましたが、記憶通りありませんでした。
善福寺川沿の桜が有名なので、しいてこの2つの公園に桜を植えなかったのでしょうか?


グランドではたくさんの人がスポーツをしています。


川沿いの桜が満開です。
よくよく見ると、色々な種類の桜が咲いています。







残念ながら私には名前がわかりません。



桜ではないのですが、ピンクの綺麗な花を見つけました。モクレンに似ています。



用事の時間が迫ってきたので、駅の方へ川沿いに進みました。
すると、遊歩道のところに桜の木が倒れながらも、花を咲かせています。


まだ枯れてはいないので、倒れたままにしてあるのですね。感動したので色々な角度から撮ってみました。


反対側です。




何度見ても飽きることのないのが桜です。
「花冷え」という言葉がぴったりな一日でした。私は久しぶりに顔に寒冷蕁麻疹がでました(笑)。

ピータートレメイン 『サクソンの司教冠』2012/04/08



七世紀アイルランド王国の王女にして、法廷弁護士(ドーリー)の資格を持つ修道女、フィデルマ・シリーズの長編です。

今回の本は、私は行ったことがないのですが、ローマのガイドブック的な役割もしています。というのも、フィデルマがローマに滞在し、町を駆けずり回るのです。それも密かに彼女が心を寄せている修道士のエイダルフと共に。

実はこの本には一作目のウィトビア教会会議のことを扱った『死をもちて赦されん』のすぐ後の出来事が書かれています。
記憶力のよくない私なので、どの順番で書かれたのかは全く関係ないのでいいのですが(笑)。

フィデルマは、ウィトビア教会会議で起こったキルデアの修道院長殺害事件を一緒に解決したエイダルフ修道士が随行員として加わっている、カンタベリー大司教指名者ウィガード一行と同行してローマに来ていました。
彼女の役目は「所属する修道院の『宗規』に教皇の認可と祝福をいただく」ことでした。
すぐに任務が終わり、アイルランドに帰れると思っていたのですが、なかなか物事はうまく運びません。

”カンタベリーのウィガード”が自室で殺され、長櫃からは数多くの高価な品々がなくなっていました。
部屋の辺りにいたアイルランド人のローナンという僧が逮捕されます。
事件の扱いを損ねると、サクソンとアイルランド双方の争いの元となり、武力衝突が起こり、必然的にローマも渦中に引き込まれてしまう可能性があります。
そういう事態を避けるため、教皇はウィトビアの事件を解決へと招いたフィデルマとエイダルフにこの事件の調査を依頼します。

エイダルフと共に事件を解決したといいたいところですが、まだ若いフィデルマですから、ローナンの容疑を疑うこともしないエイダルフの言うことなどに耳を傾けません。彼女は自らの直観や思考に基づき行動していきます。
訳も分からず、フィデルマに振りまわされるエイダルフと彼らの世話をすることになったリキニウス小隊長がかわいそうですねぇww。

おもしろく思ったのが、ローマとアイルランドの女性の地位です。
ローマでは女性は職業に就かず、男性の補助的なことしかしていません。
フィデルマのように男性と同等に考え、発言し、行動する女性などいません。
法律も男性に有利になっています。
七世紀のアイルランドって進んでいたのですね。

フィデルマらしい言葉を載せておきましょう。

「一度も敵を作らない人間には、友人も決してできませんよ。敵を見れば、当人がどういう人間か、わかります。私は、むしろ、どういう友を持っているかではなく、どういう敵を持っているかで、私という人間を評価してもらいたいと思いますわ」

20代後半のまだ初々しいフィデルマです。

カレン・マキナニー 『海賊の秘宝と波に消えた恋人』2012/04/10

三浦しをんさんの小説「舟を編む」(光文社)が本屋大賞を受賞したそうです。おめでとうございます。パチパチパチ。
しをんさんを高校の国語教師をしている知り合いも褒めておりました。ヴァラエティ物からシリアス物まで網羅する内容の幅広さは流石です。今後のご活躍を期待しております。


「朝食のおいしいB&B」の四巻目。

前回の『危ないダイエット合宿』で危ない目にあったB&Bオーナーのナタリーですが、今回は恋人だったジョンはフィアンセになっていて、いつ結婚式をあげようかと悩んでいます。というのも、姪のグウェンがロブスター漁師のアダムと付き合っているのに、グウェンの母に彼の職業を勘違いをさせたままにしておいたからです。式に来ると騒動が持ち上がるのが必須です。

ある日、沈没船が見つかります。見つけたのはアダム。彼はメイン大学に沈没船の調査を頼んだのですが、何故かトレジャーハンティング会社の<イリアッド>もやってきます。
大学関係者と<イリアッド>の人たちが、たまたま一緒にナタリーのB&Bに泊ることになり、宿では互いに牽制し合っていました。
そんな時に<イリアッド>の代表のジェラルドが殺されました。
容疑者として捕まったのは、船大工のエレイザー。彼の短剣が死体の側で見つかったのです。
警察は彼のことを犯人と決め付け、よく調べようともしません。
エレイザーの容疑を晴らすために、ナタリーはB&Bのオーナーであることを最大限に生かし(違法よねぇ)、色々と詮索をし始めます。

感心するのはフィアンセのジョンです。ナタリーに根気よく付き合い、その上、B&Bまで手伝っているんですから。
今回は彼がナタリー救出に活躍します。

そうそう、朝食がとっても美味しそうだったのですが、それだけで満足しないナタリーは、B&Bで昼食と夕食まで出し始めました。
クランベリー島コッドケーキ、レモンマヨネーズ添え。クリーミーなフレンチドレッシングをかけた冷たいエビのサラダ。サワードウブレッドのボウルに入れたニューイングランド・クラムチャウダーなどなど・・・。
お腹が空いている時に読むと、何か食べたくなります。

五巻目はナタリーとジョンの結婚式でしょうか?

漫画5冊を読みました♪2012/04/12



何回もしつこく書いていますが、かるたは格闘技だ!
団体戦で優勝した瑞沢高校かるた部。次は個人戦だ!
しかし、千早は団体戦の時に無理をしたため、右指を負傷してしまいます。千早はどうなるでしょう?


今回の『もやしもん』は珍しく薀蓄が少ないです。
本当にはないと思いますが、あったら変な行事のようなものがあります。
ミス農大の武藤さんが、この頃酒を飲んで不埒な行為をしているということで、ミス農大位を返上するか、生活改善を約束するか、どちらかにせよと迫られます。
しかし、武藤さんは両方を断ります。
そのため、「ミス農大落とし」が開催されることになります。

私の今のお気に入りの『銀の匙』とは、高校と大学という違いもありますが、ちょっと(大幅に?)違った農業学校の様子です。
11巻は変わった趣向をしようと思ったのでしょうかね?落ちどころはどこでしょう?


猫や犬物の漫画が好きなので、買ってみました。
この漫画は元は『誰も寝てはならぬ』というシリーズ物だそうです。その中からロシアンブルー(飼いたいわ)の利休之介(変わった名前です)が活躍するエピソードを抜粋したものだそうです。
利休之介はハルキちゃんというイラストレーターに飼われています。ハルキちゃんは奥さんを女性に奪われたというかわいそうな人です。
今は利休之助、命です。

猫のような生き方ができると、ストレスもなくていいのでしょうね。


益田ミリさんの『すーちゃん』のような話だと思ってくれていいです。
えみこ、35歳。微妙な年齢です。もう若くはないけれど、年寄りでもないし。
女性であれば、誰でもそうそうといいたくなるエピソードが満載です。
いくつになってもマイペースを続け、自分の生き方を肯定していきたいと思ってはいても、これでいいのかと、ふと考えこんでしまうことってありますよね。
30代の結婚できるかどうかってことは、後になって振り返るとたいしたことではなかったような気がします。
そんなことより、「老い」の方がもっと切実なんじゃないですかね。
だから「老い」を扱った漫画ってないんじゃないでしょうか?(あったら教えてください)

エイヴリー・エイムズ 『名探偵のキッシュをひとつ』2012/04/14

日本初のコージーミステリ専門文庫が創刊されたそうです。
原書房の「コージーブックス」です。
どうも月に2冊ずつ発売されるようで、4月に発売されたうちの一冊が『名探偵のキッシュをひとつ』です。


コージーミステリは探偵役の人がどういう人かで事件以外のお楽しみも変ります。
たいてい探偵役は小さな町に住んでいる、何かお店をやっている女性で、彼女の友人が探偵役をたきつけたり、一緒に調査したりします。
この本もその王道を行っています。

シャーロットはオハイオの小さな町プロヴィデンスにある老舗チーズ店<フロマジュリー・ベセット>を祖父から引き継ぎ、いとこのマシューと一緒に経営しています。
マシューはクリーヴランドの高級レストランのソムリエだったのに、妻に捨てられ、失意の元、双子の娘を連れてプロヴィデンスに戻ってきました。
祖父がシャーロットとマシュウにチーズ店の共同経営をしないかともちかけたからです。
マシューと一緒に店を経営する上で、シャーロットはお店を改装し、リニューアルすることにしました。

彼女の夢はチーズとワインのテイスティング会を開き、秋に通信販売を開始し、お料理教室をし、チーズの料理本を書くというもの。
唯一の悩みは、<フロマジュリー・ベセット>の建物が賃貸だということです。どうもオーナーのエド・ウッドハウスはこの建物を売るようなのです。

シャーロットの祖母は町長で、プロヴィデンス劇場の経営者です。
町長選挙が近づき、ライバルのクリスティーンは祖母の町長辞任を狙って、人々を扇動しています。

新装開店のパーティの日、パーティに来て、女性といちゃいちゃしていたシャーロットの夫エドが、店の前でチーズナイフを胸に刺されて殺されます。
その側に、手が血にまみれた祖母が・・・。
祖母が容疑者になってしまい、逃亡の恐れがないからと外出禁止の在宅拘禁となりました。

ここからが定番。シャーロットは祖母の容疑を晴らすために、犯人探しに乗り出します。

お約束の気になる男性も登場しますが、私が注目するのは、チーズ店の従業員のレベッカです。彼女はアーミッシュ(アメリカ移民当時の生活様式を保持している人たち)出身で、意外と大胆な推理をするんです。

チーズとワインを扱うお店ですから、チーズとワインの薀蓄が読む楽しみのひとつです。
ワインのテイスティングでは、ワイングラスに「白ワインの後に赤ワインを入れるぶんには大丈夫」とのこと。ふむふむ。
例えば、ある日の夕飯。
マーカムのソーヴィニョン・ブラン、アプリコット・クリーム・チーズ・コーヒー・ケーキ、ズッキーニとオニオンのキッシュ。そして、サラダ―青物野菜とスライスしたローマトマト、レッドオニオンに砕いたハンボルト・フォッグを散らし、ドレッシングはオイルとビネガーにつぶしたニンニク、マスタード、お砂糖をひとつまみ。
ある日の朝食。
酸味のあるパン種でつくったパンをトーストし、ダルマチアいちじくスプレッドを塗って、ペラン・オートサヴォワの分厚いスライスを一枚のせる。

私好みの料理です。
ただし、なんのことを言っているのかわからない物もあります。
ちなみにダルマチアとはクロアチアにあるそうです。101匹わんちゃんのダルメシアンの故郷だそうです。
ハンボルト・フォッグって・・・?(北カリフォルニア・ハンボルト産のチーズだそうです)

唯一美味しいのかしら?と思ったのが、ハムとパイナップルのキッシュ。
レシピが巻末に載っているので見てみると、どうも甘いキッシュのようです。
今パイナップルが一個あるので、作ってみようかしら。でもブラウンシュガーとかシナモンがないわ・・・。
ピーナツバターとリンゴのサンドイッチなんて、エ!という感じです。
パンにピーナツバターを塗り、その上にレーズンを散らし、リンゴとチーズを交互に重ねるんですって。
そういえば前に日本の作家の本を読んだら、パンの上にリンゴを乗せるというのがありました。合うんでしょうか?

引越をしたので、今は街歩きをして、美味しそうな店があったら入って物を買っています。当分痩せることはなさそうです。
こんな本を読んだら、なおさらですね。
あ~、美味しいキッシュが食べたいわぁ。